包装まめ知識

包装まめ知識-段ボール

段ボール原紙

段ボール原紙 段ボールを製造するために用いる紙で、ライナと中しんに大別される。段ボールの断面図に示すようにフラットに使用される原紙をライナ、波状に段成形された原紙を中しんと呼ぶ。
ライナ 主に段ボールの表裏、複両面または複々両面の中ライナとして使用する板紙。段ボールの用途により外装用ライナと内装用ライナに大別される。
中しん 主に段ボールの波形を形成する目的で使用される板紙。中しんは、段ボールの製造時には充分な柔軟性を、そして段ボール箱が完成した時には強じん性が要求される。 SCP 中しんと特しんに大別される。
波形に成形した中しんの形状でフルートと呼ばれる。フルートの語源は、「フルートの形が、古代西欧における朝廷の侍者の衣装についているひだのある襟によく似ているのでフルートと名付けた。」と言われている。フルートには厚さによってA、B、C、Eの四種類がありそれぞれに物性が異なる。
段ボールの種類 一般的な両面段ボールの他に片面段ボール、複両面段ボール、複々両面段ボールなどがあり、重量物や青果物のように含水率の高い内用品などを包装する場合、用途によって段ボールの種類を考慮する必要がある。

段ボール箱の形式

箱各部の名称 各部の名称
02形
(溝切り形)
02形は、世界的に見て外装用段ボール箱を代表する形式であり、ワンピースの段ボールから作られ、フラップがあり、継ぎしろをもっているのが特色である。02形は段ボールのフルートがすべて垂直なので、構造的に見て箱の圧縮強さが強く、安定した状態にあるといえる。
旧JIS表記のA形は02形に属する。
03形
(テレスコープ形)
03形は洋服箱や衣装箱によって代表される形式であり、我々にもなじみが深く、必ず身とふたとからなりツーピース以上で構成される。03形の特長は、一般的には、箱を折りたたんで保存できないという欠陥があるので、多量に使用される外装用としては使用されることが少ない。0302形は、0201形をかぶせ式にした形式であり、我が国ではほとんど使用されていないが、アメリカにおいては、青果物用の段ボール箱を代表する形式の一つであるといえるほど多用されている。その理由としては、圧縮強さが強いことと、ディスプレイ効果を発揮できるというのが主な理由である。
旧JIS表記のC形は03形に属する。
04形
(組立て形)
04形は、ワンピースからなり、継ぎしろなしで組み立てて使用できるのが特色で。0401形は、郵便小包み用として書籍など小物包装に使用される形式である。04形の特色は、打抜によって作成されるものが殆んどを占めており、贈答箱や青果物用のトップオープンタイプのディスプレー効果を持ったものが多い。
07形
(のり付け簡易
組立て形)
07形は、ワンピースでできており、メーカーで接合して折り畳み、ユーザーで箱を使用する時に簡単に組み立てて使用することができる便利な形式。0712形の最大の特色は便利性であって、ユーザーにとっては大いに歓迎される形式といえる。 従って、箱の形式についても一定しておらず色々な形が考えられ、 今後も色々なものが開発され増加して行くに違いない。しかし、段ボールメーカーにとっては、そのシステム化が不可欠の条件といえる。
A形 旧JISの箱の呼称で長さ面及び幅面の上下にフラップをもつ段ボール箱の形式。JISでは02形に属する形式。
C形 旧JISの箱の呼称でふたと身の2部分からなるかぶせ箱の形式。JISでは03形に属する。
つま面 幅面と同じ。
突き合せフラップ 段ボール箱を組み立てて封緘した場合、中央で突き合うように設計されたフラップ。
天面 段ボール箱を組み立てて正常な状態に置いたときの上部の面。
底面 段ボール箱を立て、正常な状態に置いたときの下部の面。
ボクサ ステープルを用いて段ボール箱を封緘する器具。
ボトムロック 段ボール箱の底の部分を組立てた時に封緘材を使わないでロックする箱の形式。

製造方法・設備

罫線 段ボールを折り曲げるために入れる線のことで、段目に直角のものを横罫線、またはスコア(Score)、段目に平行のものを縦罫線、またはクリーズ(Crease)と呼ぶ。 スコアに関しては、大部分がコルゲーターにおいて巾方向の断裁と共に加工される。その機械は、一般にスリッタースコアラと呼ばれている。このため、小ロットの場合以外は、断裁機においてスコアを入れることは少なくなってきている。 一方クリーズに関しては、製函機に取り付けられた罫型によって加工される。
木型 抜き型(cutting die)とも呼ばれ、平板又は湾曲状の合板又は鋼板に、切刃や罫線刃を組み込んだものである。平板状のものはプラテンダイカッタに、湾曲状のものはロータリーダイカッタに用いられる。
トムソン 米国トムソン社で作られたプラテン型打抜き機の一種であり、現在国内では最も多く用いられている打抜き機である。仕組みが簡単で堅牢安価であるが、打抜き速度が低速で、小物しか扱えないため、小ロットに適している。また、ストリッピング作業に手間を要し、手作業によるむしり取り作業が必須である。
プラテンダイカッタ 平板に刃物を取りつけた木型と、一方の金属板との間にシートを挟み、刃物の上下運動で打抜く方式のことをいう。このため、打ちぬく型の運動、および段ボールを送る装置の動作は間欠運動にならざるを得ないが、寸法精度が良く、速度も近年は毎分60枚~100枚をこなせるようになってきた。
ロータリーダイカッタ シリンダに円形の抜き型を取り付け、シリンダの回転により打抜く方式で、速度が毎分200枚前後と非常に速く、フレキソプリンタと組み合わせて1つのマシンとして運転することもできるので、生産性は大いに向上した。
打抜き形式はソフトカットとハードカットに大別される。
前者は鋸刃状の打抜き刃を、ポリウレタン、ラバーなどのアンビルシリンダに食い込ませて打抜きを行うものであり、むら取りが簡単なためセットアップが早くでき、刃物の寿命もより長いが、鋸刃を使うため切り口がギザギザになる。
後者は直刃状の打抜き刃を、金属製のアンビルシリンダに当てて打抜きを行う。きれいな切り口は得られるが、寿命は短く、むら取りに手間を要する。

特殊段ボール箱

防水段ボール箱 水による強度の劣化に抵抗性を持つ段ボール箱の総称。
はっ水段ボール箱 短時間水がかかっても、水をはじいて水滴とし、水の浸透を防ぐように表面加工した段ボール箱。
耐水段ボール箱 長時間浸水しても、あまり強度が劣化しないように加工したボール箱。
遮水段ボール箱 長時間水と接触しても、ほとんど水を通さないように加工した段ボール箱。
強化段ボール箱 箱の耐圧縮強さが極めて大きくなる材料(ライナ・中しん)を用いるか、薬品等を加工した段ボール箱。
防湿段ボール箱 防湿効果のある薬品等を加工し、箱内への湿気の侵入を防ぐとともに、一方で青果物等が発散する水蒸気の蒸発を防ぐ機能を有する箱。
鮮度保持段ボール箱 青果物や魚介類など生鮮食料品の鮮度を保持するよに加工した段ボール箱。
防滑段ボール箱 物流中の衝撃による荷崩れを防止するため滑り止めニス等を塗工した段ボール箱。
美粧段ボール箱 原紙へのプレプリント印刷や高精度印刷機によるシート印刷において高度で精密な美粧印刷を施した段ボール箱。
防錆段ボール箱 抄紙工程中の塩素・硫酸イオンを除去した中性紙や防錆剤を加工し金属製品の錆発生を防ぐ段ボール箱。
導電段ボール箱 半導体や集積回路など静電気を嫌う内容品の保護するため電気抵抗が低く、静電気の発生や帯電がない段ボール箱。
コーナー補強段ボール箱 箱の四隅を補強し、積み重ね強度の向上を目的とするとともに窓あき形状とすることで販売時の大量陳列、POP機能も備えた段ボール箱。
バッグインボックス(BIB) 外側が段ボール箱で内側に抽出口をもつプラスチックフィルムなどの袋または成形容器を装着した二重構造の液体容器段ボール箱。胴ぶくれ現象や段積み保管中の転倒を防止を目的とし胴枠等を用いたものもある。
小分け可能段ボール箱 数個の単位箱を箱の構造やテープ等の包装資材で一体化した連結包装。必要に応じて小分けできる小口流通に最適な包装形態で、コンビニエンスストアなどに適した段ボール箱。
重量物用段ボール箱 木箱にかわる重量物梱包や輸出梱包用の段ボール箱でAAフルート、AAAフルートを用いた段ボール箱。
紙製パレット 商品に合せた規格・設計が可能で、木製パレットの約1/4の軽量で物流合理化に貢献。燻蒸・廃棄処理問題をクリア、地球環境にやさしいリサイクル製品として多国間物流で活躍している。
段ボール緩衝材 段ボールの素材特性を利用した発砲スチロール緩衝材に替わる緩衝材。段ボールの構造体や積層品など紙製のため、回収・再生が可能。
成形段ボール フィルム層をもつ段ボールで熱成型が可能で、断熱性、耐水性に優れ、高強度の段ボールは、自動車の天井材などの内装材に適している。